2024/04/17 19:48
分厚いガラス板と耐水ペーパーを使った刃物の裏押しのご紹介です。
木工で使う鑿(のみ)や鉋(かんな)は一般的に片刃になっていて鎬面の裏側は平らになっています。
その平面を維持する作業を「裏押し」と呼びます。
この裏押しの方法にも色々あり、職人の好みによってやり方も様々ですので一般化するのは難しいのですが、よく行われている方法としては、
・金盤と研磨材を使う
・ダイヤモンドヤスリ(焼結、電着)を使う
・普通の砥石のみを使う
が挙げられると思います。
どの方法も先人方が考えた十分実用的で素晴らしい方法ではあるのですが、以下の点を解決できる方法はないかとずっと考えていました。
・金盤や焼結ダイヤモンド砥石は使っている間に面が狂うため定期的な面直しが必要
・電着系の砥石は手頃でも、そもそもの板自体の平面度に当たり外れがある
・電着系で砥石直しと刃研ぎが出来る平面度の高い空母は裏を使うだけに買うには販売価格も再電着のコストも高い
・砥石では平面が崩れるのが早いので頻繁な面直しが必要
普段、裏押しにはエビ印の焼結ダイヤモンド砥石を使っていますが、その面が狂ってきた時は10mmほどのガラスに耐水ペーパーを貼ったもので面直ししていました。
また、鉋の下端調整の際にもガラス板にサンドペーパーを貼ったもので一度平面を作ります。
それならば、砥石サイズにした分厚いガラス板の上に耐水ペーパーを貼って直接裏押しをしてしまったほうが正確で、しかも低価格に平面直しが不要な砥石ができるのではないかと考えました。
ガラス板が平面を担保し、研磨力はその上にピッタリ張り付いた耐水ペーパーが担うというイメージです。
そんな簡単なことで上手くいくなら誰かしらやっているだろうと思い、検索エンジンで調べてみましたが中々見つからず、結局ガラスに直接GCや金剛砂を乗せて裏押しをしている方しか見つけられませんでした。
これは私の検索力の問題で実際はやっている方がいらっしゃるのかもしれませんが、とりあえず今度は英語で調べてみるとYouTube や木工系のHow toサイトに沢山のレビューが載っていました。
これは日本の鑿と西洋のみで構造が違う(全鋼or鍛接、裏すきの有無等)ためなのか、裏のみでなく鎬面も含めて耐水ペーパーとガラス板で研いでいる動画も少なくない数見つけることができました。
それなら分厚い平面度の高いガラス板を使えばそれなりに実用的なものができるのではないかと思いやってみることにしました。
工房にはまだ手をつけていない、引退した職人さん等からもらった鉋や鑿がたくさんあるため、それらの裏を面直しなしでガラス板と耐水ペーパーで砥石にかけられる段階まで整えられるかを試すことにしました。
耐水ペーパーを使う前提なので、サイズは耐水ペーパーを4枚に割いた時に無駄が出ないちょうど良いサイズに決めました。

当たり前ではありますがストレートエッジを当ててみると完璧な平面です。
糸面仕上げにしてもらったので手を切る心配もありませんし、強化ガラスなのでそう簡単には割れなさそうです。
19mmの分厚さがあれば裏押し中に力を加えてもまず撓むこともないと思います。
耐水ペーパーの固定方法は色々考えましたが、シンプルに両面テープで固定することにしました。
前後を挟む様な構造なども考えましたが、ひとまず両面テープで使ってみてから考えることにしました。
両面テープを貼った部分は段差になり研ぎには使えないので取っておいて部分的に何かを磨くときに使おうと思います。
幅は通常の砥石に近く、長さがあるので長手方向で研磨力の残っているところと新しいところを使い分けることもできます。
また、一般的な砥石台に固定して砥石の様に使うことができます。
あとは水をつけて通常の砥石の様に研いでいきます。
手元にある古い鑿の中には、長い間放置されていて錆びてしまったものも多くありましたが、
平面が狂うことがないので長時間連続して研ぐことができました。
耐水ペーパーの研磨力が落ちればまた新しいペーパーに取り替えるだけです。
近所のビバモールで買ってきた耐水ペーパーは一枚80円程度で、4分割して使ったので交換しても一枚あたり20円程度です。
下の画像左が元の状態、右が軽く裏押しした状態です。
サビのせいで表面がガタガタしてはいますが、平面は実用範囲で出ています。
今回はひとまず裏切れしたり錆び付いていた鑿の裏を修正するのが目的なので、全てガラス板と耐水ペーパーで裏押ししてみました。
裏表を使うと6面の砥面が使えることになるので、#120、#360、#600、#1000、#1500を使い分けましたが、どの番手でも比較的研ぎやすかったです。
ただ、どうしても両面テープのズレか耐水ペーパーの伸びかでしばらく使っていると中央部が少し弛むので今後両面テープを変えたり最初に耐水ペーパーを濡らすなどして改善できないかを見てみたいと思います。
全ての鑿を1500番まで通してこの日はひとまず終了です。
元々使っていた人の癖でベタ裏になっていたり、ひょうたん裏になっていたりしたので不揃いではありますが、一度に完璧な形にするのではなく使いながら修正していていこうと思います。
この後は通常の砥石で裏を仕上げ、その後鎬面を研いでいきたいと思います。
また、かつらが無くなっているものや仕込みが緩くなっているものもあるので、その辺りも後日仕込んでいかなければと思っています。
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